輝ける青春

2005年9月30日 映画
輝ける青春みてまいりました。http://www.kagayakeru.net/index.html
6時間6分。

この映画は、最初から大事なのですよ。
主人公はローマ在住の1歳違いの才能あふれる兄弟
ニコラとマティオを中心にした物語です。
イタリアの大事件、フィレンチェの洪水、トリノの学生運動、
「赤い旅団」のテロ活動の目撃者、もしくは、事件に巻き込まれていく。

ところで、最初は主人公の1人、弟のマティオが
お父さんから荷物の片づけを頼まれる。
しかし、マティオは片づけを断る。
この時点で、父子の仲が悪かったことが
明らかになる。
それと父母仲も悪く、自宅を担保にして事業を展開する
父に対して、堅実で現実的な教師の母。
お母さんの教えているのはイタリア古代詩。
日本で言えば、古典を教える教師だった母は、
どちらかというと、繊細で才能豊かなマティオびいきのように
見えました。

この二人が、まず、精神病院にいたジョルジに
恋しノルウェーに旅行に行くものの、
ジョルジが地元警察に逮捕された時に
ジョルジを守ることが出来なかったと
達観する弟は、ローマに帰郷して
軍隊に入る。
繊細な彼が秩序重視、感性無視なところへ。
それに反して、兄の二コラはそのまま旅を続け
精神科医になって、ジョルジのような精神病というだけで
人権無視される世の中を変えるために頑張る。
それは、列車の発車シーンや兄の太陽の光に
対して、弟の土砂降りの雨のシーンによって
対比される。
それに加えて、旅先のトリノでは、トリノ大で
学生運動をしている後の妻になるジュリアに出会う。
ジュリアと二コラの関係だけでなく、
マティオとマティオの同僚の関係も
せりふや背景で示されるので見逃せないです。
たとえば、マティオがジュリアに対して
「あなたたち学生はお金持ちで、金持ちが貧乏の軍隊を
 攻撃して生活の糧を奪っている。」
という発言をして兄の妻を悲しませたり、
めいのサラたちが乗っているにもかかわらず、
スピードをアップさせたり。
弟のマッティオは素直でない言動が目立ちます。

それに反して、兄ニカラは精神病院院長を患者の
証言により(これが取りづらい)、実刑判決をとる
という画期的な判決をとる。
こうやって、ニコラは家族以外には著しい
回復傾向をもたらす。
しかし、内縁関係の妻ジュリアは子育ての困難さ、
親子関係や議論好きという性格から、
家業に飽きたらず「赤い旅団」というテロ活動に
荷担してしまう。
ジュリアは、「ピアノは母の希望、数学は自分の希望」
というせりふがあるように、母とトラウマがありそうです。
そして、娘とのシーンでも、「司祭に許可を得ないと
ピアノをひくことが出来ない。」と言っているように
国家を転覆するような理論を持っているわけではなく
自分のコンプレックスを克服するために「赤い旅団」に入った
気がするのです。
そして、潜伏地で偶然同じ名前のサラという娘を見て
動揺したぐらいですし。

こうしてみると、ニコラは他人は更正出来たが、
弟や妻そして娘でさえも関係修復に苦労しています。

それに比べて、大学の図書館でジョルジに対し、
「人生には勝者と敗者しかいない。たった70年という
 人生で決してしまう・」という詩が好きな
マティオは、人生最大の理解者ミレッラが現れる。
彼女は、マッティオの自分自身の名を偽り
自信の経歴を偽ることに対して、疑念を持つ。
そして、彼のことをもっと知りたいと思い
図書館司書になり、彼の借りている書物
彼の経歴、等を調べるようになる。
そして、その矢先悲劇が。

でも、この悲劇がミレッラの探求心をもたらし
彼女の写真の個展にマッティオの写真が。
その題は「マッティオがニコラになった日」
です。

輝ける兄と不遇の自分。

ミレッラによって弟や妻の気持ちを
理解し、しかも、マッティオの宝物
アンドレアの存在を知ることが出来た。
そして、母と孫との交流がパルレモの美しい
景色の中で行われる。

そして、母は教師を辞める決意をし
孫たちとローマを発つ決意をする。
教室からみる運動場の景色は、なんだか
収容所の運動場にも見えるのは
気のせいか。

この映画は、60年の歴史、家族、旅行史、偏見
と運動。これらを、破綻無い脚本が支えている。
演出もとてもいい。

イタリアと日本。

どこか似ていませんか。

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